食品としてのニンニクには基本的な4つの働きがあります。
それらが様々な間接的な機能性に繋がっています。ニンニクの基本的な働きとは次の4つになります。
- 1点目:殺菌および解毒を行う働き
- 2点目:ビタミンB1の吸収を促進する働き
- 3点目:血液中の血栓を作りにくくする働き
- 4点目:活性酸素を除去する働き
ニンニクにはこの基本的な4つの働きに加えその他にも複数の副産物を生み出しています。これらの副産物により更に期待できる働きが数多くあります。
ここではその中から代表的なものをまとめていきます。
1)・疲労回復
2)・風邪・インフルエンザ 対策
3)・コレステロールを抑える
4)・血液サラサラ
5)・高血圧 予防
6)・動脈硬化 予防
7)・冷え性 対策
8)・食欲増進・食欲不振 対策
9)・消化促進・消化不良 対策
10)・便秘・下痢 対策
11)・胃潰瘍・十二指腸潰瘍 予防
12)・食中毒 予防
13)・肝機能強化・肝臓障害 対策
14)・二日酔い 予防
15)・癌(ガン)抑制
16)・エイジングケア
17)・糖尿病 予防
ここで紹介するものはニンニクの品質、調理方法、他の成分との兼ね合い、
そしてその人の体質などに大きく左右されるため必ずしも食品としても良い働きがあるという意味ではありません。
しかし、論理的もしくは過去の研究報告などから比較的良い働きが期待できるものを選んでいます。
それぞれの働きを解説します。
疲労回復について
ニンニクと言えば疲労回復や滋養強壮といった「元気が出る!」というイメージがあるかもしれません。
事実、ニンニクには疲労回復の要素が沢山あります。
疲労回復の中心となる働きはビタミンB1の吸収を高めることです。
この働きによって疲労回復ビタミンと言われるビタミンB1の吸収を促します。
しかも、それだけでなく、血液中にためることができるようにすることで
疲労回復に必要なエネルギーを効率よく、しかも持続的に生産することができるようになります。
ニンニクの抗酸化の働きや殺菌作用は、外部の有害物質を除去する働きがあります。
これらも疲労回復に大きく役立っています。目に見えない外部から侵入してくる
有害物質は私達が思っている以上に疲労の原因となっているケースも実は多いのです。
さらに、ニンニクに含まれるアリシンは、血液の中の血栓の形成を防ぐ働きがあります。
スコルジニン(ニンニクパワーを発揮する素となります)により末梢血管を元気にすることでより血流が良くなることも疲労回復を促進します。
風邪・インフルエンザ 対策について
ニンニクを食べると風邪をひかないと言われます。
この状況は、ニンニクの抗ウイルス作用によるものです。
ニンニクに含まれる有効成分のアリシンには殺菌や抗菌の働きがあります。
しかも、同様に抗ウイルスの働きもあると言われています。
この抗ウイルスの働きは風邪だけでなく、インフルエンザにも有効だとされています。
そのことは数々の研究報告により実証されています。
この風邪やインフルエンザに対する効果は人間だけでなく
動物にも有効だと言われています。家畜の餌には風邪をひかないように、ニンニクが含まれていることがあります。
また、風邪やインフルエンザに対する働きは、薬ではないので予防に効果を発揮します。
風邪の季節は毎日、継続的にニンニクを摂取すれば風邪やインフルエンザを防ぐ可能性が高まるかもしれません。
コレステロールを抑える
コレステロールの上昇は生活習慣の乱れが大きな要因とも言えます。
そして、食品のニンニクにはこのコレステロールを軽減する働きがあるとされます。
ニンニクがコレステロールを減らす研究報告はいくつかありますが、そこで掲示されている報告は、主に2つにまとめられます。
- 1点目:コレステロールの合成に必要な補酵素の働きを妨げ、コレステロールの生成を軽減します。
- 2点目:胆汁へコレステロールの排出を促すことで血液の中のコレステロールを減らす。
いずれの働きもニンニクの有効成分であるイオウ化合物によるものとされています。
特に1点目は、S-アリルシステイン、アホエン、ビニルジチイン
2点目は、ジアリルジスルフィド、ジアリルトリスルフィド
によるものと考えられています。
血液サラサラについて
ニンニクの大きな働きに血液サラサラというものがあります。
現代人は食の欧米化や生活習慣病の乱れ、ストレスなどから血液ドロドロというケースが
非常に多くなっているというニュースが昨今、メディアで放映されています。
血液ドロドロは高血圧や動脈硬化などの原因にもなります。
ニンニクの有効成分であるアリシン等には血液ドロドロの原因となる過酸化脂質や血栓をできにくくする効果があります。
その結果、血液サラサラにする働きがあるとされています。
同じくニンニクの成分であるスコルジニンは、末梢血管を拡張する働きがあるとされています。
これも血液サラサラを促進する働きがあるとされています。
高血圧 予防について
ニンニクを食べると「興奮する(?)イメージ」もあることから血圧が高くなるイメージを誘発しますが、
実際は血圧を軽減させる働きがあり、高血圧の予防に期待ができます。
血圧を下げる主な要因はニンニクの持つ血液サラサラによるものです。
血流が良ければ血圧は上がりにくくなるからです。
また、ニンニクに含まれるイオウ化合物やアデノシンの成分には、血管を弛緩させる働きがあり、これも血圧を下げる要因となっていると考えられています。
その他にも、ニンニクに含まれるカリウムやカルシウム、マグネシウムなども血圧を下げる作用があり、
それらの相乗効果により高血圧の予防・改善効果が期待できるとされます。
6 動脈硬化 予防について
ニンニクの動脈硬化に対する効果はドイツの政府機関であるコミッションE
(ドイツで販売されるハーブの安全性と効能を審査するために科学者、毒物学者、医師、薬剤師からなる委員会が1978年ドイツ政府によって設立された)
で認められています。
ヨーロッパEU統一指標機関(ESCOP:ヨーロッパ植物療法科学協力機構)も動脈硬化について研究が行われています。
ニンニクの動脈硬化の予防はニンニクの持つ悪玉コレステロールや血栓、活性酸素を抑える働きによるものです。
これらの働きによって動脈硬化の原因となる過酸化脂質ができにくくなるのです。
冷え性 対策について
ニンニクは冷え性対策に良い食材として紹介されることが多いのですが、実は研究論文等でニンニクの冷え性に関する学術論文はあまり多くありません。
そもそも「冷え」とは東洋医学的な概念のため、科学的な見地から効果性を証明するのは難しいのかもしれません。
しかし、ニンニクが冷え性対策に良いと感じている人も多くいるのも事実で、ニンニクが冷え性対策に良いと言える根拠も存在しています。
例えば、ニンニクには血液サラサラになるために、冷え性の原因の一つとされる血行不良に働きかけをします。
そして、末梢の血管を広げる働きもあるため、特に冷えを感じやすい「手足」の血行を良くするとも言えます。
ニンニクにおける冷え性対策の働きは、科学的な背景が薄いので信用性が高いとは言えません。今後、ニンニクの冷え性に関する
学術的な論文を期待したいと思います。
食欲増進・食欲不振 対策について
ニンニクは中華料理、イタリア料理、フランス料理に至るまで様々なお料理に利用される非常に人気のあるスパイスでもあります。
ニンニクが多くの料理で利用される最大の要因はニンニクの香りに”食欲をそそる”という効果があるためだと言われています。
”食欲をそそる”効果というのは、食欲増進や食欲不振の働きにも寄与すると言われていて
同じような意味を持つことになります。
この働きは健康とはあまり関係が無いように思われますが、栄養価が高くてもあまり美味しいと思わない食物を食べられるようになり、
食欲が無い時にも栄養を摂ることができるようになる可能性があると言うことは、私たち健康を意識する人にとっては、最大の効果と言えるかもしれません。
消化促進・消化不良 対策について
ニンニクには食欲増進だけでなく、消化不良を良くする働きがあります。
それは、ニンニクの有効成分であるアリシンは胃の粘膜に届くことで、胃の働きを活発にしたり胃液の分泌を促したりすることで消化活動を助ける働きがあります。
またアリシンにはタンパク質を分解し、消化吸収を促進する働きもあります。
さらに、アリシンが持つ殺菌作用は、腸の悪玉菌を軽減させ、腸の調子を保つことで、消化促進や消化不良につながると言えます。
しかしながら、空腹時にニンニクを摂取したり、生ニンニクを食べ過ぎると、胃を刺激しすぎたり、腸内の善玉菌も殺してしまうために注意が必要です。
胃痛や消化不良などを招き、もろ刃の剣となり逆効果となるので注意が必要です。
便秘・下痢 予防について
ニンニクに含まれるアリシンには腸内の悪玉菌を殺す整腸作用の働きが期待できます。
また、アリシンは胃腸を刺激するため便秘や下痢を改善する働きがあるとも言われています。
更に、ニンニクには水分が65%占めるので、水溶性食物繊維が多く含まれています。
直腸性やけいれん性などの便秘にも良いとされています。
筋肉が伝播性の収縮波を生み出す運動を活発にする働きを考えると弛緩性の便秘にも有効性があると考えられており、ほとんどの便秘にも期待できると思われます。
しかしながら、消化促進や消化不良の場合同様に、空腹時のニンニク摂取や生ニンニクの食べ過ぎは胃を刺激し、腸内の善玉菌を殺してしまうため注意が必要です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍 予防について
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の主な原因は、胃腸に生息するピロリ菌が主な原因ということが分かってきています。
ピロリ菌は、簡単な検査でも判断がつきますが、その退治には、専門の治療が必要となります。
ピロリ菌は胃酸の中でも生存できるほど生存力が強く、死滅がとても困難で自然消滅はしません。
よって、死滅させるためには、専門の治療が必要となりますが、ニンニクも、ピロリ菌を抑制する食品の一つだと言われています。
ニンニクに含まれるアリシンの抗菌や殺菌作用、S-アリルシステインによるピロリ菌の毒素を中和する働きが役立っていると考えられています。
その一方で、経口摂取によるニンニク摂取はピロリ菌に効果が無いという報告もあり、実際学術的なニンニクの胃潰瘍に対する効果についてはまだまだ研究段階と言えます。
食中毒 予防について
ニンニクは大変食中毒の予防に良いと言われています。これはニンニクが持つ抗菌、殺菌作用によるものです。
ニンニクの抗菌・殺菌作用は食中毒の原因となる細菌に対しても有効的と言われます。この効果は大腸菌に対しても有効と言われています。
この抗菌、殺菌作用は主にニンニクに含まれるアリシンによるものですが、
アリシンが変化したジアリルジスルフィドやアホエンなどのイオウ化合物にも抗菌や殺菌力があるとされています。
よってどのような調理の方式であれ、生ものを食べる時はニンニクを添えると食中毒の対策予防の期待が高まります。
肝機能強化・肝臓障害 対策について
肝臓は消化や栄養素の代謝、解毒など様々な働きを持つ臓器と言われています。ニンニクの肝臓に対する効果はその昔から知られていました。
ニンニクの肝臓に対する働きには肝臓の負担を軽減し、保護する働きがあります。その結果、肝機能を強化したりする働きも期待できるのです。
肝臓における糖質の代謝にはビタミンB1が欠かせません。ニンニクに含まれるアリシンにはビタミンB1の補給をし、糖質の代謝を促進させる働きもあります。
アリシンやアリシンが変化したジアリルジスルフィドなどには殺菌、抗菌作用があり、肝臓の解毒作用の負担を軽減してくれます。
ニンニクの抗酸化の作用は肝臓の酸化ストレスから守ったり、肝炎や肝硬変の要因となるのを軽減する働きがあります。
二日酔い 予防について
二日酔いには、一般的にはニンニク注射が有効的と言うのを聞いたことがあるかもしれません。
実際、ニンニク注射にニンニクは入っていませんが、ニンニクと似た成分のビタミンB1誘導体等が含まれており、
クリニックなどで処方して頂くことが可能になります。
その結果、ニンニクのような働きが得られるようになっています。
つまり、ニンニク注射が二日酔いに働くということはニンニクそのものも二日酔いに良いと考えられているわけです。
そのロジックの考え方は、アルコールが体内に入ると、アルコールを代謝するために大量のビタミンB1が必要となります。
そのビタミンB1が不足すると体内にアルコールが残り、結果的に二日酔いの要因になります。
ニンニクに含まれるアリシンはビタミンB1の供給や持続性を高めるため、アルコール代謝を促進させる働きがあります。
また、ニンニクの持つ解毒作用や抗酸化の働きは肝機能を助けるため、更にアルコールの代謝の働きを向上させ、二日酔いの予防を促すと言われています。
ニンニクにもビタミンB1は含まれていますが、更に一緒に豚肉などのビタミンB1を多く含む食品と併用して食べると更に効果的だと言われています。
癌(ガン)予防について
ニンニクの効果・効能で最も注目されているのは癌(ガン)に対する考えかもしれません。
実は、日本よりもひと足早くガン死亡者の増加が深刻化していたアメリカでは、
食べ物と健康の研究が進んでおり、1990年アメリカ国立癌研究所 (NCI)でデザイナーフーズ計画(designer foods project)が発表されました。
この計画では、長年の疫学的研究データに基づいたガン予防に効果のある植物性食品(主に野菜や果物などの約40種類)をピラミッドの表にまとめています。
これらの食べ物は”デザイナーフーズ”と言われており、ニンニクもその範疇に含まれています。
実際にニンニクの癌(ガン)に対する効果が報告された研究発表は沢山あります。
特に胃がんと大腸がんに関する研究論文が数多くあります。
一方、肺がんや乳がんに対してはあまり報告されていません。
癌(ガン)に対する働きの多くはアリシンが変化したイオウ化合物によるものです。
その中のジアリルジスルフィドやジアリルトリスルフィドには、癌の細胞を抑制し正常化に導く働きがあることも確認されているそうです。
S-アリルシステインには癌細胞を攻撃するNK細胞を活性化する働きがあります。
また、アホエンは腫瘍の増加を抑える働きがあるとされています。更に、ニンニクの抗酸化に大きく作用するとも考えられています。
しかしながら、現段階でニンニクの効能は研究段階であり、効果があったとしても癌(ガン)を予防・抑制するに留まり、治療できる医療用にはならないようです。
エイジングケアについて
ニンニクのエイジングケアは主に2つあります。一つはニンニクに含まれるイオウ化合物やビタミンEなどによる抗酸化の働きがあります。
シワやシミ、白髪や白内障など老化に関わる症状の多くも活性酸素が大きく関与していると言われています。この活性酸素を除去する働きが抗酸化の働きだと言えます。
また、血管を健康に保つことで血流を良くする作用があります。
血管の衰えは、動脈硬化の原因となるだけでなく、血流を悪くして老化の原因となります。
ニンニクに含まれるアリシンなどの成分は、コレステロールを抑制し、
血栓や過酸化脂質をできにくくして血管の衰えを軽減する働きがあります。
血管の柔軟性を保ち血流が良くなることは、体中への栄養供給と老廃物の回収が促進されるということです。
この一連の流れがある意味、エイジングケアと言えるかもしれません。
糖尿病 予防について
ニンニクの糖尿病予防への働きは、糖代謝促進を根拠とする場合があるようです。
糖尿病は摂取した糖質を代謝しきれず、血液中の糖濃度が高くなる症状です。
通常、糖質は代謝されてエネルギーに変換されていきます。
その時に欠かせないのが、ビタミンB1です。ビタミンB1が不足すると糖質を代謝できなくなるのです。
ニンニクの有効成分であるアリシンはビタミンB1と結合してアリチアミンに変化させます。
更にビタミンB1の吸収と持続性を高めます。その結果、糖質の代謝を促進し糖尿病の予防に役立つというわけです。
その他、ニンニクは糖尿病に有効だと言われているインスリンの分泌を促進するという報告もあります。
ただし、糖尿病に対するニンニクの働きは、間接的かつ限定的なものという一般的な個人的な意見が多いですので、
あまり信用して過剰な期待するのは避けてください。
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